専業主婦です。わたしが33歳の頃勤めていたのは、従業員50人程度の特別養護老人ホームでした。子供の頃近所のおばあちゃんやおじいちゃんに可愛がられて育ったので、老人の面倒を見る仕事に興味があり介護の世界に入りました。
Tさん(40歳・女性)の体験談
思い描いていた職場像と現実
老人介護の仕事で自宅から近い施設ならどこでも良かったのですが、たまたま近所にできたばかりの施設があったためそこを選びました。介護職は今も人手不足が続いて大変ですが、当時も常に人が不足していてぎりぎりで回している状態だったのです。
ぎりぎりで回している状態だと利用者の世話が中途半端になりがちです。私はそれが気になったのでひとりひとりの利用者と丁寧にコミュニケーションを取るように努めていました。それが私たち介護職員の大事な仕事の一つだと信じていたし、コミュニケーションを取らなければ利用者の世話なんて満足にできないんですね。
だけど配属されたユニットの先輩・・・50代細身の女性職員は利用者の気持ちを大事にしていませんでした。「時間が全て」という感じで、何時から何時の間にここまでしなくちゃいけないということに意識が向き、利用者の訴えを長時間無視することすらあったのです。それはわたしが目指すところの介護とはまったく別物でした。
楽しいはずの食事の時間が…
利用者の食事については「食べさせればいい」「お腹に入ってしまえばいい」という考え。自分が同じようにされたらどう思うか?なんて微塵も考えていない様子で、目の前の食べ物を利用者の口へどんどん運び、利用者が食事を味わって食べるような状態ではありませんでした。
ひとりで食事を食べられない利用者を放っておく小柄な男性職員もいました。御飯の量はひとりひとり決められていますが、自分の力で食べられない利用者は食事をボロボロこぼしてしまったり、手づかみで食べようとして結局こぼしてしまうんですがそれも見て見ぬ振り。
エプロンや床にこぼれた御飯を見れば食器に残っている御飯の量が少ないことが分かります。わたしは食器の中身をほとんどこぼしてしまう利用者の場合炊飯器に残っている御飯を足してあげていたんですが、それを見たこの職員にすごい剣幕で叱られました。
余計に御飯を足しているわけではなくこぼした分を足しただけです。それでもこぼしたのは利用者が悪いから何もしなくていいという態度でわたしは悲しくなりました。施設に住んでいる利用者の楽しみは食事です。その食事で満足できなかったら利用者は何を楽しみにして生きれば良いのでしょう・・・。
自分の信念と向き合った結果
わたしは自分のユニットにいる利用者は全て自分の身内だと思い仕事をしていました。赤の他人だと思うから、辛く当たったりイライラを利用者に向けてしまうのです。介護職員になる人は心が優しい人だとここで働くまで思っていましたが、働いてみて利用者を大切にしていない人もいるということがショックでした。
利用者に暴言を吐き怖がられても平気な職員と一緒に働くなんてできず、半年で退職しました。
管理人と仲間達から一言
そして、触れられているように、老人ホーム職員の人出不足は止まらない。まだまだ厳しい現実で溢れているね…。