先日友人が、「ウチの会社は、人が入ってもすぐに辞めてしまう(特に若い子)。しまいには辞める比率が高くなって全く人が増えなくなった…」という話をしていました。これって、会社が存続するかどうかの深刻な問題ですよね。
そしてそれを間近で見ていると、友人自身も会社への不信感が溜まってきているそうで、今後自分はどうすれば良いか悩んでいる様子でした。
ということで今回は、人の入れ替わりが激しい職場に勤めてしまった時のために、あなたが知っておくべきことをまとめました。
目次
社員の入れ替わりが激しい会社にありがちな8の特徴
そもそもどんな職場を「入れ替わりが激しい」と言うのでしょう。平成29年の平均離職率は厚労省調べで約15%。これも一つの基準になります。ただ、離職率や平均勤続年数の数値はもちろん参考になりますが、あくまで数字でしかありません。
人が入れ替わりやすい職場の具体的な特徴をご紹介します。あなたの職場はいかがでしょうか。
1.尊敬できる上司がいない
上司というものは、ただ部下に仕事を教えたり管理したりするだけではなく、部下のこれからの指標にならなくてはいけません。つまり「将来この人のようなりたい」と思わせる希望であるべきなのです。
今の上司を見て「こんな風になりたい」「この人すごい」と思えるでしょうか。今後働いていく中で、先を走っている上司が尊敬できないのは致命的です。どうしたって上の者を見て、将来の自分の姿を想像してしまいます。入って早々ダメな上司を見て、「自分がこの会社を変えよう!」なんて思う人は稀です。未来が見えない会社に長居する理由はありません。
2.上司の指示に具体性が欠ける
「尊敬できない上司」と少し似ていますが、実は大きく違います。
例えば、最近あなたの残業時間が増加気味だとします。「またこんな時間まで残って…。定時内に終わらせると言ってなかったか?意識が足りないぞ。」と、いつも参考にならない事後注意だけをされませんか?注意が重なって呼び出されても、「なぜ出来ないのか」の質問形式か、それぞれの仕事の大切さ重要性などを説く精神論のみ。
具体的にどうすれば良いのか指示してくれません。もちろん自分で考え行動するのは、とても大切なことです。ただ、行き詰まったら一緒に横を歩きながら補助し、部下の状況を把握しながら先手を打つことも時には必要なのです。
人は自分ができたことを、相手にも押し付けてしまう生き物。「自分ができたから、部下もできて当たり前」と考え、言葉で説明しようとしません。そして考え方が自分ベースで、一人称が抜け切れていない上司は、部下を深掘りしようとしないので、具体的な言葉も出てきません。「こんなことも教えなきゃならないの?」とすら思っているはずです。
上司の世代は生産性重視の、頑張れば頑張るだけ報われる時代でした。時代は変わり市場の多様化、サービスもより複雑になり、AIやネットワークなどのITも発達…もう根性や気合いだけでは通用できない世の中になってきています。感覚だけでなく、より複雑な論理的思考も重要になってきています。そのような世代間のズレも、退職者を生む大きな要因になっています。
3.教育環境が整っていない
上記のような上司を生むのは、やはり会社の体制です。人がすぐ辞める職場は、入って研修もそこそこに、なるべく早く戦力になるよう叩き込まれます。新人が先回りして勉強し、先輩の背中を見て覚えようとする姿勢は素晴らしいことです。ただし、教える側がそれを期待しすぎるのは良くありません。
基本というものは非常に大切で、仕事のやり方だけではなく、会社の考え方や思いもそこには含まれます。しっかり時間を取って正しい言葉で伝えて、時には見て覚え、時には仕事に触れながら…様々な角度で土台は作られるのです。土台がスカスカだと、その上に積み上がるものもスカスカになります。そんなピラミッドが、何かの拍子に崩れても決して不思議ではありません。
4.採用を甘くみている
なぜ採用が重要なのかというと、教育には限界があるからです。そもそも会社の方針や考え方と合わない人材を採用しても、いくら教えたところで相手は変わりません。そして基準値より明らかに低い人材を、基準値に近づける教育にも、膨大な労力を要します。
20年以上かけて形成された性格や考え方を矯正するのは、決して容易なことではないのです。つまり、選ぶ段階でマッチした人を採用していれば、それら全ての労力が必要ないわけで、本来絶対に妥協してはいけない部分とも言えます。
それらを踏まえた上で、あなたの会社はどのように人材の募集、採用を行なっているでしょうか。例えば、人がすぐに辞めるからといって、辞める前提でガンガン採用していませんか?人がいないので焦って、「人を入れることだけ」を目的にしてしまっているならば、とても危ない状態です。
採用に力を入れていない企業は、人の良し悪しを判断する能力がないので「とりあえず入社させて一緒に仕事してみる」ことしか頭にありません。これはかなり効率も悪く、相手も自分もただ時間と労力を無駄にするだけではなく、企業側の疲弊が進み、負のスパイラルに更なる拍車をかける結果となります。採用にも力を入れず教育環境も整っていないという最悪のコンボが、あらゆる企業で発生しているのです。
5.目の前の仕事に追われるだけの日々
こんなに1人じゃ抱えきれないよ!というほど、仕事を詰め込まれていませんか?仕事があるのは、とてもありがたいことですが、やらされ仕事だけを延々と続けていると、人は頭を使うことをやめてしまいます。
どれだけ効率良く目の前の仕事を処理するか、それだけに集中することになります。どんな仕事でも、自主性を持ち、その結果成功を収めることで喜びに繋がります。なぜならそこに自分だけの力を感じる瞬間があるからです。それがチームなら、きっと終わった後にお互いを称え合い、絆も深まることでしょう。
その価値に気付けない会社にいると、いつの間にか仕事の楽しさや入社当時の夢を忘れ、なるべく楽な方に逃げるようになります。もちろん、楽して稼ぐことが悪いわけではありません。あなたが本当にやりたかったことをいつの間にか忘れ、自分から遠ざかってしまうことが問題なのです。そして、つまらなくなった職場を辞めたくなるのは、時間の問題でしょう。
6.給料と仕事内容が割りに合わない
入れ替わりが激しい会社は、そもそも利益が出なくて給料が低い、もしくは利益が出ていても社員に還元しないことが多いです。バカバカしくなって人は離れていきます。
5.のように膨大な量の仕事を押し付けられると、それが一度当たり前になります。すると今度は、会社側のあなたに求めるものが変化します。世の中は常に目まぐるしく動いていて、企業はそこに対応していかなければなりません。それはサービスかもしれませんし、働き方改革のように業務改善かもしれません。とにかくその時に、口だけでも全体に号令がかかるわけです。
例えばすでに仕事がパンパンで、そこにあなたがうまく適応できなかったとしたら、会社が求めることをしていない!ということで評価も上がりません。どんなに努力しても給料は変わらず、人によっては残業代も出ない。だんだん不満が溜まって、もっと給料が貰えてやりたいことができる会社に転職…ということになるのです。
7.勉強の時間が重要視されていない
人の入れ替わりが激しい会社は、学習のための時間や、セミナーへの参加を支援しません。勉強はそれぞれ勝手にやるものと考えがちです。
実際の業務の中から学べる事(OJT)には限界があります。一度業務から離れ、広い知識や社内にはないノウハウを手に入れる機会は非常に大切です。確かに社員が学習をしている間は、仕事もストップし、セミナーであれば費用もかかります。ただ、学習とは未来への投資。この投資をしなければ、社内にある情報は更新されず、新しいチャレンジも生まれず、時代の変化にも対応できません。
誰もが自主的に、仕事外の時間を使って勉強するわけではないので、企業側がどんどん支援しなければ衰退の道しかないのです。
目先の利益だけを追い求め、投資を怠るような会社は、人が離れていっても不思議ではありません。
8.人を辞めさせる問題児を放置している
非常に多い話ですが、人が集まると必ず問題児が1人以上います。それを制御できない会社は、人材を垂れ流すことになります。
明らかなパワハラ、セクハラ、時にはいじめ、マイナスな事しか言わない人…お局様にありがちですが、長年いるだけで会社を理解した気になり、自分をルールの中心と思い込んで、少しでもはみ出した者にキツく当たる人もいます。
こういう人は、歴史を尊重しすぎるがために時代の変化について来れず、正論を盾に新しい試みをする人の足を引っ張ります。つまり若い人を辞めさせてしまうのです。言うことは理屈が通っているので、会社としても手を焼くというわけです。
「みんながすぐ辞める=ブラック企業」なのか
会社が機械だけで保っているのであれば良いですが、やはり会社の中心には「仕事」と「人」がいます。その「仕事」と「人」を大切にしない会社は、ブラック企業である可能性は極めて高いと言えます。
上記で挙げたような特徴に、1つでも引っかかるからといってイコールブラックで繋げてしまうのは、気が早いかもしれません(上司は非常に重要ですが)。すべての環境がバッチリ揃うには、時間もかかりますし、「会社が変化している最中だけど、あなたが気付けていない」ということもあります。
繰り返しになりますが、大切なのは、「仕事」と「人」をどう扱っているかです。
悪いところばかりではない
もし、会社が環境を整えている途上の中にあなたがいるとしたら、チャンスでもあります。環境整備や業務改善をしようとしているタイミングは、社長・役員をはじめとした上司達が、社内を一から見直す機会です。その時に貢献した者に、普段以上の評価を与え、今後のポジションを優遇する瞬間でもあるのです。
「自分にとって働きやすい職場」にする具体的な手順を、別の記事にまとめています。ぜひ参考にしてください。
>>非力でも今の職場を「働きやすい職場」にする3ステップ|人間関係に悩むあなたへ
また、全く改善の兆しがない会社だとしても、あなたの今の努力は必ず糧になります。入れ替わりが激しい環境では様々な人と接するため、普通より経験値が積まれます。素晴らしい後輩、最低な上司とコミュニケーションを取ることもあるでしょう。特に、あまりにひどい相手と接した経験は、その後大概のことをどうでも良く感じさせてくれます。そういった人間関係こそ財産なのです。
入れ替わりの激しい職場に勤めてしまったら
まず、あなたの会社が「仕事」と「人」を大切にしているか見極めることです。大切にしていれば、将来性はあります。あなたにできることを考えてみましょう。会社が求めていることは、常日頃から発信されているはずです。上司の口、朝礼、社内報、経営理念、忘年会…その「求めていること」が正しい行いであるならば、素直に沿えば良いだけです。それだけで大きな信頼を得ることができます。
もしあなたの会社が「人」を大事にしていないとしたら、将来性がないのでなるべく早く離れるべきです。入れ替わりが激しい8つの特徴を挙げましたが、これらを自分の力で変えるということは、人生をかけるということです。特にあなたが20代、30代のような最も脂が乗った時期だったとしたら、余計なことに労力をかけすぎるのは非常にもったいない話です。
もちろん全てが無駄というわけではありませんが、本当にやりたい仕事をするために、今の環境がベストなのか自分に問いただしてみてください。その会社に居続けると、どれだけの時間を無駄にすることになるか、必ず気付けるはずです。
>>関連記事:人間関係が最悪の職場で、あなたが失う5つのこと
まとめ
- 上司が尊敬できないと部下は辞めやすい
- 採用の方法、教育環境に注目
- 勉強は未来への投資
- 問題児を放置している会社は危険
- 入れ替わりが激しい職場は「人」を大切にしない可能性が高い
- 「人」を大切にしない会社に将来性はない
- 環境改善中であればチャンス
- 今の環境があなたにとって本当にベストか考えてみる