どうしたら相手の心を変えられるだろう?
価値観や性格が合わない人、やたら高圧的な人、一緒にいると気まずい人、仕事ができない人。そんな人たちに囲まれて、しんどい日々を過ごしている…今回はそんなあなたに向けた記事です。
結論から言って、職場は友達を作る場所ではないので、むしろ多少距離感があるくらいの方が良いです。しかしそれでも、できることなら支障のない範囲で関係を良くしたい。気持ちが楽になりたい。そう思うのも、当然の感情です。
僕自身も過去に、挨拶を無視する上司や、マウンティングをとる同僚、性格の悪すぎる部下に囲まれていた頃がありました。文句を言って辞表を叩きつけようと何度も思いましたが、今ではその人たちと良い距離感を保てています。
はっきり言います。人間関係は改善されましたが、その人たちの性格は何一つ変わっていません。いまだに呆れる発言を繰り返しています。
変わったのは自分自身です。それも、決して大きな変化ではありません。
今の職場を少しでもどうにかしたいと思っているのであれば、とても大切な内容なので、ぜひ読み進めてみてください。
目次
相手は変えられないし、変化を待ってもチャンスは来ない
職場には年齢も違えば、育ちも学歴もお金の使い方も違う人たちが集まっています。しかもそんな人たちと「仕事」という共同作業を行うわけですから、トラブルぐらい起こるのが普通といえるでしょう。
ただ、それが理解できたところで、今あるツライ感情を箱に入れて、棚に仕舞えるわけではありませんし、モヤモヤした感情はおさまりません。だから誰もが、ドラマや漫画のような、変化のきっかけを待ってしまいます。
断言しますが、相手の変化を待っていてもチャンスは来ません。大事な時間だけが過ぎていきます。冒頭でお話しした通り、「明日から相手の性格がガラッと変わる」なんてことはありえません。
そして残念ながら、こちらからの働きかけで、相手を変えることもできません。
なぜなら、人は何年も積み重ねてきた価値観を、簡単に曲げることはできないからです。「三つ子の魂百まで」という言葉は、決して大袈裟な言葉ではありません。
他人にできることは、変化の「きっかけ」を作ることだけです。ねじ曲げることができるのは、権力か暴力もしくは洗脳です。それも一時的なものでしょう。
待っていてもダメ、変えようと思ってもダメ。ではどうすればいいかというと、あなたが変わることです。
今この瞬間からできて、あなたが大きく成長できて、環境も良くなる一番良い方法こそが、あなた自身の変化。現状を打破したいと考えているのは、他の誰でもないあなたです。そのあなたが、変化から逃げてはいけません。
このサイトまでたどり着いたその意志を大切にして、これから解説する方法をぜひ実践して見てください。たった3つの考え方です。
【職場の人間関係を良くする考え方.1】自分起点で考える
職場の人間関係を良くするためには、なにごとも自分を起点に考えることがスタートラインです。
自分起点とは、自分の中の原因を冷静に見つめ判断すること、それに応じた行動を自分からするということです。なにごとも「自分から」が大切です。
くれぐれも「自分がすべて悪いんだ…」とか「自分のやりたいようにやる」という意味でもありませんのでご注意ください。
「期待」するから職場の人間関係が良くならない
あなたは知らず知らずのうち、相手に「期待」をしていませんか?実はここに人間関係トラブルの原因が隠れています。
人と人の間にあるトラブルのほとんどは、「期待」から始まります。上司と部下はもちろん、恋人同士も親と子も友人関係もすべてです。相手に何かを期待してしまうと、そうならなかったときに焦りや失望、変化しなかった相手への不満、そして怒りが生まれます。
- 新人に企画書作成を依頼する →
【期待】 思った通りに作ってくれ - 下ネタが多い同僚に話しかける →
【期待】 下ネタはやめてくれ - 言葉がキツい上司に指示をもらう →
【期待】 普通に指示を出してくれ
期待に反する不満や怒りは、すべて「相手の裏切り」という感情に変換されます。この行為の連続が、人間関係のトラブルにつながります。
「期待」ではなく「信頼」をする
結論から言いますと、「期待」を「信頼」に変えることが、人間関係解決の糸口となります。
- 期待とは →
自分は責任を負わず、相手に求めること - 信頼とは →
自分が責任を負って、相手に任せること
このように、期待とは基本的に他責(相手のせいにする)であり、信頼とは自責(自分の原因を見つめる)を意味します。
人間関係は、相手に責任を求めても、何の進展もしません。自分の行動に責任を持つことが、良好な関係に必要な要素なのです。
先ほどの例を「信頼」に変換すると、以下のようになります。
- 新人に企画書作成を依頼する →
【信頼】 わかるように依頼の仕方を工夫しよう - 下ネタが多い同僚に話しかける →
【信頼】 真面目な雰囲気をこちらで演出しよう - 言葉がキツい上司に指示をもらう →
【信頼】 指示は的確だから内容に集中しよう
このように捉え方ひとつで、コミュニケーションは大きく変化します。
感情と事実を切り分けて考える
苦手な相手を信頼するのは、難しいと思うかもしれません。そういった場合は、このように考えれば簡単です。
例えば、なるべく一緒にいたくない、セクハラ上司がいたとします。その上司の人格すべてを否定するのではなく、まずは信頼できるところを見つけます。
「企画書の書き方が抜群にうまい」「必ず笑顔で挨拶してくれる」「実はいつも社用車をきれいにしてくれている」など。
同時に、信頼できないところを把握することも大事です。
「セクハラなどの失言が多い」「仕事の進め方が古い」「部下より上司の顔色ばかり見ている」など。
このように相手への思いの部分と、信頼できる・できない部分、つまり感情と事実を切り分けて考えます。
- 【感情】 一緒にいたくない、苦手、気分が悪い
- 【事実】 企画書が抜群、笑顔で挨拶してくれる、失言が多い、仕事の進め方が古い
そうすれば仕事していても、その人の「事実」にだけ注目することができます。感情の部分は、この人はこういう人なんだと受け入れて、流せばいいだけです。※もちろんセクハラを推奨してはダメです。
まずは感情と事実を切り分け、信頼と受け流す技術を身につけましょう。それには、ちゃんと相手を観察することが必要です。あなたから、相手を見る目を変えるのです。
【職場の人間関係を良くする考え方.2】相手の立場を考える
おそらくほどんどの方が、「相手の立場で考えなさい!」と耳にタコができるくらい言われた言葉ではないでしょうか。
相手の立場に立つのではなく、相手の立場を考える
「相手の立場になって考えなさい」「人の気持ちを考えなさい」「自分が言われて嫌なことを言うのはやめなさい」大事なことなのはわかるけど、なんだか良くわからない…そういう方がほどんどだと思います。
自分が言われて嫌なこと、と言うのは多少具体性がありますが、相手の立場に立つ、と言うのは想像が難しいことです。
しかしここで言いたいのは、「相手の立場に立つ」ではなく、「相手の立場を考える」ということです。
相手の立場に立つのは、その人に成りきること。しかし、相手の立場を考えるのは、事実を知るということです。
- 相手の立場に立つ = 相手の感情を想像する
- 相手の立場を考える = 相手にまつわる事実を知る
国語の作文のように感情を想像するのは難しい(というより答えがない)ですが、そこにある事実は把握できるはずです。
では、より具体的な術をお伝えします。
相手をキャラクター化し、パラメーターで捉える
人はとても複雑ですが、キャラクター化すると考えやすくなります。
やり方としては、感情と事実を切り分けたときのように、その人の生態を言語化したり、数値化やグラフ化したりし、個人を把握していきます。
- 相手が何に対して喜び、何に対して怒るか?
- 技術力、コミュニケーション力、思考力を数値で表すとどれくらいか?
- 出身地や家族構成は?
- それがどう仕事に影響するか?
- 自分に対する態度と他の人に対する態度の何が違うか?
その人を理解するためには、知るべき情報が山ほどあります。それら一つ一つを組み合わせると、相手の動きが少しずつ読めるようになります。あくまで、その人の「事実」を知るのです。
- あの人の企画力は高い →
今度困ったら相談できそうだな。 - あの人は手帳にこだわってる →
この安いメモ帳を見たら見下しそうだな。 - あの人はこの時間作業に集中している →
15分後に話しかけるべきだな。
パラメーターというと、人間味のない冷たい印象を持たれるかもしれませんが、実際やってみるとしっかり感情を乗せてコミュニケーションが取れます。
図鑑を想像してみてください。図鑑で何かを調べるとき、そこに載っているものにワクワクドキドキしながら、事実にもしっかり向き合えているはずです。
この切り分けの感覚こそが、人間関係を良好にするコツといえます。キャラクター化しながら相手としっかり向き合い、相手の動きを想像しましょう。
【職場の人間関係を良くする考え方.3】仕事中心に考える
最後は判断基準にまつわる考え方です。
自分から姿勢を変えること、相手の動きを見て予測することは理解できたかと思いますが、ここにはまだ行動の軸・目的がありません。
例えば軸がないと、報連相は誰にどの範囲まですべきかとか、定時前に頼まれた仕事はどこまで対応すべきかとか、雑談にどれくらい付き合うべきかとか、この辺りが判断できません。
ここが正しく判断できるようにための最後の考え方、それが「仕事を中心に考える」です。
理想の距離感は「良い仕事ができる距離」
職場の人間関係の中心には、やっぱり「仕事」があります。なぜなら職場は仕事をするための場所だからです。
そして、企業はその仕事の「質」を追求しなければなりません。仕事の質が高まれば、企業は残り続け、社会も社員も豊かになるからです。
もちろんあなた自身も、仕事の質を追求する必要があります。企業を成長させるという理由もありますが、一番はあなたの市場価値を高めるためです。
つまりこの価値が高い人ほど需要があり、転職をするときに選択肢や給料の幅が広がることを意味します。
良い仕事をすることがあなた自身の成長に繋がり、職場で働く理由になり、会社や社会への貢献になります。これは揺るぎのない真実と断言しても良いでしょう。
ここが理解できれば、「職場の人間関係=良い仕事をするための人間関係」であるべき!とわかるはずです。
仲良くなる必要はない
そしてその距離感は、遠すぎてもいけませんし、近すぎてもいけません。遠すぎると仕事がスムーズに行えませんし、近すぎるとなあなあな関係になってしまいます。
「職場は仲良しグループを作る場所じゃない」というのはよく聞く話だと思いますが、これは「仲が良すぎると妥協が生まれやすい」という理由からです。
まあいいかとか、仲が良いから許すとか、そういった仕事の質に反する判断が生まれてしまうのは、正しい距離感とは言えません。
目の前にある仕事の結果にこだわることこそ、職場におけるコミュニケーションの軸と言えるのです。
感情は無視しきれない、仕事をする上で必要なコミュニケーション
もちろん、仕事ができればどんな態度を取っても良いというわけではありません。人には取るべき最低限の礼儀があります。
特に挨拶、笑顔、お礼、謝罪、報連相…常識というわれるすべての正しい行為は、絶対に不可欠です。これらは、仕事以前に人として取るべき行いです。
ここに、テクニックや難しい話は一切ありません。親や先生に言われてきた、正しいコミュニケーションから逃げない。ここだけは必ず押さえるようにしましょう。
考えが変われば姿勢が変わる、姿勢が変われば行動も変わる
以上が、職場の人間関係を良くする3つの考え方でした。これらの事実を知れば、姿勢が変わり、必ず行動に差が出ます。
何より大切なのは、わざわざこの記事を読みに来た、あなた自身の「現状をどうにかしたい」という気持ちです。自分からその気持ちに気付き行動できたことが、他の人との大きな差です。
再び冒頭に戻りますが、どこまで行っても変わらない人は変わりません。僕の職場にいる、大半の人もそうです。
真面目にどうにかしたいと考えているあなたなら、必ず良い結果を生むはずです。そしてそんなあなたを、このサイトは全力で応援します。
ネガティブな人には要注意、自分のメンタルを保つこと
1つだけ、注意して欲しいことがあります。それは、ネガティブな発言ばかりする人との距離感です。
そういった人と長い時間一緒にいると、体力や精神がみるみる削られてしまいます。可能なら関わらないことですが、職場ではそれも難しいことでしょう。
対策としては、自分のメンタルのあり方と、それを保つ方法は把握しておくことです。
事実を切り分けた時のように、自分の状態を事実として把握すること。相手の発言を受け流す術や、削られたメンタルを元に戻す自分なりのリラックス法などを知ること。これらを意識してみてください。
「知る」ことで、人は対策を打つことができます。自分は何に対してツライのか、何に対して嬉しいのか、「知る」ことが前に進む秘訣です。
まとめ
- 自分から変わる
- 相手は変わらない
- 「期待」ではなく「信頼」に変える
- 「感情」と「事実」を切り分ける
- 苦手な相手とは、「事実」にだけ向き合う
- 相手をキャラクター化して行動を予測する
- 職場では仕事を中心に考える
- 職場の人と仲良くなる必要はない
- あなたは他の人より一歩進んでいる
一貫して大切なのは「事実」に目をやることです。事実には、好きも嫌いもありません。あなたに取っての真実が見えれば、コミュニケーションの難易度はグッと下がるでしょう。