在宅ワーカーをしているM.Yと申します。私は以前、従業員15人の小さな建築関係の会社で事務をしていました。そこで体験した気まずい瞬間のお話です。
Mさん(43歳・女性)の体験談
何でも相談できる、頼りになる先輩のAさん
この会社は、半数が社長さんの親族で、和気あいあいとした職場でした。中でも私に仕事を教えてくれたのは、社長さんの姪のAさんという人で、とても親切な人でした。そして、その人の婚約者の男性のSさんも同じ職場で働いていて、毎日手作りのお弁当を食べていました。Sさんは営業担当の人で、人当たりの良い話し方と、笑顔が素敵な方。とても仲が良いお二人は、他の社員からよくからかわれていました。
ちょうどその頃、私は交際している彼との仲が上手くいっていなくて、Aさんにいろいろと相談に乗ってもらっていました。私の事を妹のように思ってくれていて、彼が浮気をした時には、自分の事のように怒ってくれたんです。
明るく元気な新入社員のEさん
そんな時に、新入社員の女性Eさんが入社してきました。明るく活発な人で、私達はすっかり意気投合しました。和気あいあいとした社内ならではなのかもしれませんが、お昼になるとそれぞれお弁当を持ち寄って食べていたんです。お昼時には、ほとんど女性社員しかいないので、まるで毎日が女子会のような状態でした。そして、たまに男性社員が戻ってきて一緒に食べる事もあるのですが、かなり居心地が悪そうにしていました。特にAさんのお弁当は毎日綺麗に盛り付けされていて、私も作り方などを聞いたりしていました。
そして、話題はAさんの結婚の話になり、仕事は辞めるのかとか、どこに住むのかなどで話しは盛り上がりました。EさんはAさんの結婚の話を初めて知ったらしく、何度も良いなぁ。と、繰り返していたので、私が「彼氏いるの?」と聞くと、Eさんの答えは、いるけれど告白していないというものでした。
和気あいあいが一転…場が凍りついた一言
Aさんは持ち前の姉御肌を発揮して、自分が話をまとめようかと言ったので、Eさんは嬉しそうに相手の事を教えてくれました。相手は同じ職場で営業をしている人で、年上で優しく、頼りになる人だというんです。オバ様たちも、相手が誰なのかEさんに詰め寄りました。
「実は、Sさんなんです。私、一目惚れしちゃって」
空気が凍りつくって、こういう瞬間なんだと思いました。それまで笑顔だったAさんの顔もさすがにひきつりました。一人事情が分かっていないEさんに、私が耳元で事情を教えると、みるみるEさんが青ざめました。その場はなんとか和やかなムードに戻り、AさんはSさんと結婚して、私が辞める頃にはお二人の間に女の子が誕生しました。