Mと申します。今の会社に入って、10年くらいたった時でした。私より1年前に派遣社員で入社した、言葉もカタコトで日本語の読み書きもできないTさん(海外から出稼ぎにきている方)が、私の上司になりました。
Mさん(38歳・男性)の体験談
海外の方が大多数を占める会社
私の働いている会社は、家などを建てる時に使う部品を主に製造する会社です。
正社員が2割程度、残りは海外出身の派遣社員という構成になっていましたので、日本人の方が管理職として、事務作業をするような仕組みになっていました。私も2年ほど現場で作業し、3年目から事務仕事をこなしながら現場を管理するような立場になっていました。
その当時Tさんは、現場の作業員として働いていました。Tさんの勤務態度は、他の海外の方に比べれば真面目な方でしたが、日本社会一般的にみれば多少だらしない部類に私は入ると思っています。
そのような関係で10年近く仕事をしていましたが、会社の方針が変わり、派遣社員を正社員にして、正社員の割合を増やしていくことになりました。Tさんは10年以上の経験があるため1番に正社員になることが決まりました。ここまでは全然普通のよくある話です。ここから、上司Sが登場してきます。
突如言い渡された、良い加減な施策
上司Sは50代半ば身長が低いおじさんで、パワハラ気質の方でした。Tさんが正社員になる時に、上司Sが私に言いました。上司S「Tさんをリーダーにするから、お前明日から現場ね」私は、自分では真面目に仕事をしてきたつもりですし、上司Sに嫌われないように無理な指示でも出来る限り努力して期待に応えて来たつもりでしたが、そんなのは全く意味がなかったようです。
Tさんをリーダーにする理由は、上司S「Tさんを昇格させることで他の海外の作業者のモチベーションが上がりみんな頑張るだろ」とのことでした。しかし、彼は日本語の読み書きが出来ません。事務仕事は誰がやるのか・・・。もちろん私がやることに。しかも現場の作業員兼Tさんの補助という位置づけでした。
その日から私は、会社に行くのがとても苦痛で仕方がなかったです。会社に作業開始3時間前に入り、その日の段取り、事務仕事をこなし8時から現場作業。Tさんは8時出勤。17時まで現場をこなして、そこから一日の集計作業や次の日の準備、その先のスケジュールを作成したりと、Tさんの分まで、ほぼ2人分働きました。
Tさんは現場が終わったら、私に何も言わずに帰る。せめて、Tさんが少しでも仕事を覚えようとしてくれていたら、私も耐える事が出来たのでしょうが、Tさんの態度に、私はついにあきらめる事を決意しました。
思いをぶつけるも、虚しさは残る
退職届を、上司Sに出しにいくと。上司S「ふざけるな!誰がTの仕事やるんだ!」と突っ返されました。私「Tさんの仕事はTさんがやればいい。それが出来ない人間をわかっていながら、リーダーのポジションにしたあなたの責任です。私は辞めます。」 私「海外の作業者のモチベーションを上げるのもいいですが、日本人のモチベーションがどうなるか考えたほうが良いですよ」
そう言い残し、私は10年務めた会社を退職する事になりました。私は日本語カタコトで読み書きが出来ない人間に負けてしまいました。