筋トレする後輩

前回『幼い頃から知っていて、憧れを持って就職した料亭で…』で料亭を退職したKです。私は現在、特別養護老人ホームにおいて介護職員として働いています。医療法人が母体となっている施設で、施設内には常勤で20人ほどの職員がいます。その中に筋トレを愛して止まない後輩のAがいます。見た目は体格が良く、メガネをかけた割と爽やかな青年です。彼のエピソードを紹介したいと思います。

Kさん(29歳・男性)の体験談

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筋トレ大好きAくんのプレゼン

私の施設では、新人は自己紹介のためにパワーポイントで資料を作成して5分間のプレゼンを行うことになっています。多くの新人は自分の出身地や趣味の紹介をします。Aくんも例に漏れず、趣味である筋トレを紹介したまでは良かったのですが、途中から雲行きが怪しくなってきました。『趣味は筋トレです。では僕が好きな筋肉ランキングを紹介します!』そう言った後の会場は、なんだかやばい奴が入ってきたぞという雰囲気が全体から伝わってきます。Aくんはそんなことは気にしません。素敵なポージングとともに筋肉の場所となぜ好きなのかを語ります。第3位から紹介した筋肉ランキングも『第1位 前腕筋!』と発表を終える頃にはこれが何の会のなのか忘れてしまうほどのインパクトを与えて終了しました。筋肉のことは良く分かったけれど、Aくんのことはあまり分からなかったプレゼンでした。

そんな衝撃を残したAくんですが、1ヶ月後には戦力として介護を行ってもらうことになりました。とは言え、私とは担当フロアが違ったのでAくんと会うのは休憩時間が重なった時だけでした。Aくんはいつも握力強化用のハンドグリップを持っており、話しかけると『ちょっとやってみますか?』とか『この強度は日本にはないんで海外から取り寄せました』など筋トレに関する話しかしませんでした。

Aくんが起こしたプチ騒動

そして配属1ヶ月目にAくんがインシデント(事故にはなっていないけれど、ヒヤリハットなど)騒ぎを起こします。この職場ではインシデントを一覧として月末に共有することになっています。事例紹介として注意喚起ですので、個人名がわかることはないのですが、内容を読んでAくんしかないだろうと思われることが書いてありました。

ある職員が利用者様の居室内で、会話中に筋力トレーニングを行い、ハンドグリップ式の用具から連続的に発生する『キュッキュ』という音に認知症の利用者様が反応してしまい不穏になられるという事件があったということでした。そのため、利用者様の居室や会話中の筋力トレーニングは控えるようにと記載されていました。

そして今日も筋トレは続く…

そんなことやろうとも考えたことがなかったので、不意を突かれて大笑いしてしまいました。すると人が集まってきて、まだインシデント一覧を見ていなかった他の人もその内容に目を通すと、同じように大笑いしていました。

しかも彼へ上長が注意した時にも『申し訳ございません、次からは音が出ないものを使用します』と言ったので、上長は頭を抱えてしまったという話が伝わってきました。

そんな彼は仕事に対しては真面目で憎めない感じのキャラクターなので、周りの人に愛されながら今日も仕事と筋トレを続けています。

管理人と仲間達から一言

ショウ
こんなに意味のないインシデントの共有は初めてだ。笑わせてもらいました。
サキ
私は「海外にしかない強度のハンドグリップ」がツボです。
タカギ先輩
短い文章の中から、Aくんの誠実さが伝わるね。これは確かに憎めない。
Kさん、2回目の体験談もありがとうございました。

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