私は何万人と言う従業員がいる大手電機メーカーの、千人規模のとある事業部技術部門の責任者をしているT.Yです。これは私がまだ管理職になりたての頃の話です。
T.Yさん(55歳・男性)の体験談
最年少で管理職、お世話になった先輩が部下に
私の会社では、高卒・大卒・院卒の学歴と出世スピードには余り差はなく、実力本位と言える会社です。しかし、係長級や課長級と言った役付きになるには、最低年齢が決められています。そんな昇進に関する制度を有する会社で、私は実力を認められ、最短の年齢で課長級の管理職に就く事になりました。その事は非常に誇らしく、嬉しい事ではありましたが、すぐにその事が悩みに変わりました。私が管理職として見る事となった課は、25名の組織でその半数以上が、私より年上の先輩と言う人員構成だったのです。
入社以来、色々と教えてもらった事のある多くの先輩が部下となったのです。これは、どう付き合うべきか非常に大きな悩みとなりました。あからさまに嫌味を言ったり、意地悪をする様な先輩は居ませんでしたが、それでも何人かは良く思っていない事が明らかで、チクチクと嫌味っぽい事を言う者もいました。
管理職と向き合うことで見出した解決策
こうした年上の部下といかに付き合い、その中で課長としての自分の職責を全うすべきか、大いに迷い、悩みました。その解決策を自分なりに十分に考え、ある結論に到達しました。それは、自分は課長と言う仕事の役割を分担しているだけで、決して部下と比較してすべての面で優れていると言う訳ではない事を胸に刻む事でした。その上で、野球などでよく言われる様に、優れた選手は即優れた監督たり得るものでないと言う点を考え、プロの管理職を目指す事にしたのです。
徹底した姿勢と向上心で、周りの理解を得ることに成功
技術的な知識や経験では自分以上に優れた部分を持っている先輩であっても、管理・監督と言う側面では私の方が圧倒的に優れたスキルを有する事を先輩たちに仕事を通じて示せるように自己成長するために、技術以外のマネジメントスキル向上のために、色々と勉強しました。
また自分は管理職と言う仕事を分担しているだけで、決して偉いのではないと言う考え方の下に、仕事を指示するに当たっても、先輩には年長者としての敬意を払いつつ、しかも言うべき事はきっちりと話すと言う事を心がけました。もちろん、年下の部下に対してもぞんざいな口の利き方等はしない様に心がけました。
こうしたスタイルで課長職を勤める事で、年上の先輩と大きくもめる事もなく、無事に職責を果たす事が出来、今では部長級の技術部門の責任者になる事も出来ました。組織の中で、人間関係が上手く保てなければ十分な仕事はできません。自分の立場で、自分なりの良い人間関係を構築する努力が何よりも大切と言えるのです。